年末調整とは?外国人労働者が提出する書類と扶養控除を解説【2026年版】

年末調整とは?外国人労働者が提出する書類と扶養控除をわかりやすく解説【2026年版】
日本で会社員として働いていると、毎年秋から年末ごろに会社から、
「年末調整の書類を提出してください」
と言われることがあります。
外国人労働者の中には、
「年末調整って何?」
「書類を出さないとどうなる?」
「ベトナムやインドネシアにいる両親を扶養にできる?」
「海外へ送金している場合、何を提出すればいい?」
と疑問に思う人もいるでしょう。
年末調整は、会社が毎月の給料から天引きしている所得税と、その人が1年間に本来納めるべき所得税との差額を年末に計算し、精算する手続です。国税庁も、毎月の給与等から源泉徴収した所得税等の合計額と、1年間に納めるべき税額との差額を精算するものと説明しています。
外国人であっても、日本で給与を受け取り、年末調整の対象となる場合は基本的な仕組みは日本人と同じです。
ただし、海外に住む配偶者や両親などを扶養控除の対象にしたい場合は、追加の書類が必要になることがあります。
この記事では、2026年時点の国税庁の公的情報をもとに、年末調整の意味、外国人労働者が提出する主な書類、扶養控除、海外に住む家族を扶養にする場合の注意点まで分かりやすく解説します。
年末調整とは?
年末調整とは、会社員などの給与所得者について、会社が毎月の給与から源泉徴収してきた所得税等と、1年間に本来納めるべき税額との差を年末に精算する手続です。
毎月の給料から引かれている所得税は、最終的な税額ではありません。
年の途中では、
- 1年間の給与総額
- 扶養する家族
- 配偶者の所得
- 生命保険料
- 地震保険料
- 社会保険料
- 基礎控除など
すべての条件が確定していないため、会社は一定の方法で所得税を先に天引きしています。
年末になって1年間の収入や控除がほぼ確定した段階で、正しい税額を計算します。
その結果、
税金を多く払いすぎていた場合 → 還付される
税金が不足していた場合 → 追加で徴収される
ことがあります。
外国人も年末調整の対象になる?
外国人だから年末調整を受けられない、というわけではありません。
日本の会社で給与を受け取り、年末調整の対象となる条件を満たしていれば、外国人労働者も対象になります。
国税庁によると、12月に行う年末調整では、原則として、
1年間を通じて勤務している人
または、
年の途中で就職し、年末まで勤務している人
などが対象となります。
また、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を行う日までに提出している一定の人が対象です。
ただし、給与収入が非常に高い場合など、年末調整の対象にならないケースもあります。
年末調整で外国人労働者が提出する主な書類
会社から渡される書類は、その人の状況によって異なります。
一般的には、次のような書類があります。
1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
扶養している家族などを申告するための重要な書類です。
例えば、
- 配偶者
- 子ども
- 両親
- その他の扶養親族
などについて、条件を満たす場合に記載します。
外国人労働者が海外にいる家族を扶養に入れたい場合も、この申告書に関連する手続が必要になります。
2.給与所得者の基礎控除申告書など
2026年分では、国税庁が、
給与所得者の基礎控除申告書
給与所得者の配偶者控除等申告書
給与所得者の特定親族特別控除申告書
所得金額調整控除申告書
を兼ねた様式を案内しています。
本人の所得や配偶者などの状況によって記入する内容が変わります。
3.保険料控除申告書
生命保険料、地震保険料など一定の保険料を支払っている場合に使用します。
会社から提出を求められた場合は、保険会社から届く控除証明書なども確認しましょう。
4.住宅ローン控除関係の書類
住宅ローン控除を年末調整で受ける人は、対象となる年以降、必要書類を会社へ提出する場合があります。
初年度は原則として確定申告が必要になるなど、通常の年末調整とは手続が異なる点があります。
外国人が特に注意したい「扶養控除」とは?
扶養控除とは、一定の条件を満たす親族を扶養している場合に、所得税を計算するときの所得から一定額を差し引ける制度です。
外国人労働者の場合、
母国に住んでいる両親
海外に住む兄弟姉妹
海外に住む子ども
などについて、
「お金を送っているから扶養にできるのでは?」
と考えることがあります。
しかし、送金しているだけで自動的に扶養控除を受けられるわけではありません。
親族関係、年齢、所得、生計関係、送金状況など、法律上の条件を満たす必要があります。
海外に住む家族を扶養にする場合は追加書類が必要
海外に住んでいる親族は、税務上**「国外居住親族」**と呼ばれます。
国外居住親族について扶養控除などの適用を受ける場合、国税庁は原則として、
親族関係書類
と
送金関係書類
などの提出または提示を求めています。外国語で作成されている場合は、日本語訳も必要です。
ここは外国人労働者の年末調整で特に間違いやすいポイントです。
「親族関係書類」とは?
親族関係書類とは、
海外に住んでいる人が、本当に申告者本人の親族であることを証明する書類
です。
国税庁では、外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類で、国外居住親族の氏名、生年月日、住所または居所などが記載されているものを対象としています。
具体例として、
- 戸籍に相当する書類
- 出生証明書
- 婚姻証明書
などがあります。
例えば両親を扶養にする場合、
自分と父親・母親の親族関係が確認できる書類
が必要になります。
外国語の書類は翻訳が必要
親族関係書類がベトナム語、インドネシア語、ミャンマー語などで作成されている場合、日本語の翻訳文も必要です。
「送金関係書類」とは?
送金関係書類とは、
本人がその年に海外の親族へ生活費や教育費として実際に支払いを行ったことを証明する書類
です。
国税庁では、例えば金融機関を利用した海外送金について、本人から国外居住親族へ支払いを行ったことを確認できる書類を送金関係書類としています。
具体的には、
- 外国送金依頼書の控え
- 銀行の送金明細
- 一定の家族カードの利用明細
- 条件を満たす電子決済サービス等の書類
などが該当する場合があります。
家族が複数いる場合は「それぞれへの送金」が重要
例えば、
父・母・弟
の3人を扶養親族として申告したいとします。
この場合、
「父親の口座へまとめて送金して、家族全員を扶養にする」
という方法では、各人への送金を証明できない可能性があります。
国税庁は、送金関係書類について、国外居住親族の各人に対して必要の都度支払いを行ったことが確認できることを求めています。
そのため、海外の家族を複数人扶養に入れたい場合は、誰に、いつ、いくら送ったかが確認できる形で送金記録を残すことが非常に重要です。
30歳以上70歳未満の国外居住親族は特に注意
海外に住む親族を扶養にする場合、特に注意したいのが、
30歳以上70歳未満
の国外居住親族です。
この年齢の親族については、原則として扶養控除の対象から外れますが、一定の条件を満たす場合は対象となります。
例えば、
- 留学によって国外居住者となった人
- 障害者
- その年に生活費・教育費として38万円以上の支払いを受けている人
などです。
このうち、**38万円以上の送金条件を利用する場合は「38万円送金書類」**が必要になります。
「38万円送金書類」とは?
38万円送金書類とは、国外居住親族である各人について、
その年に本人から生活費または教育費として受けた支払いの合計額が38万円以上であること
を証明する送金関係書類です。
重要なのは、
家族全体で38万円ではなく、対象となる親族1人ごと
という点です。
例えば、
父:20万円
母:20万円
合計40万円
を送ったとしても、
「1人に38万円以上」
という条件を使う場合、単純に合計40万円だからOKとはなりません。
対象者ごとに条件を確認する必要があります。
送金は1回だけでもいい?
税法上、すべての国外居住親族について一律に「毎月送金しなければならない」と決められているわけではありません。
ただし、扶養控除等を受ける場合は、その年に生活費・教育費として行った支払いを証明できる必要があります。
また、同じ国外居住親族へ年3回以上支払っている場合、国税庁では一定の条件のもと、
送金関係書類の明細書
+
その年の最初と最後の送金関係書類
を提出・提示する方法も認めています。
ただし、省略した送金関係書類は本人が保管する必要があります。
現金を家族へ手渡しした場合はどうなる?
外国人労働者の中には、
「一時帰国したときに現金で両親へ渡した」
というケースもあります。
しかし、年末調整の扶養控除では、送金関係を客観的に証明できる書類が重要です。
銀行送金などであれば、
誰から誰へ、いつ、いくら支払ったか
を記録として残しやすくなります。
海外の家族を扶養控除に入れる予定がある場合は、年末になってから慌てるのではなく、普段から証明できる方法で送金し、明細を保存しておくことをおすすめします。
扶養親族が別居していても扶養控除を受けられる?
日本国内でも、親と別々に暮らしている人はいます。
国税庁によると、別居している親族でも、常に生活費や療養費等を送金しているなど、本人と**「生計を一にしている」**と認められる場合は扶養控除の対象となる可能性があります。
つまり、
同じ家に住んでいなければ扶養にできない
というわけではありません。
国外居住親族の場合は、これに加えて親族関係書類や送金関係書類等を確認する必要があります。
16歳未満の子どもは扶養控除の対象?
所得税の扶養控除では、16歳未満の扶養親族は基本的に扶養控除の対象ではありません。
ただし、住民税など別の制度に関係することがあります。
そのため、
「扶養控除がない=書かなくてもいい」
とは限りません。
会社から渡された申告書の記載方法を確認し、分からない場合は給与担当者などへ相談しましょう。
年末調整でよくある外国人の間違い
1.家族へ送金していれば必ず扶養になると思っている
送金だけではなく、
親族関係
年齢
所得
生計関係
などの条件も確認されます。
2.家族全員へのお金を1人の口座へ送っている
複数人について扶養控除を受けたい場合、各国外居住親族への支払いが確認できることが重要です。
3.送金明細を捨ててしまう
年末調整になってから、
「去年の送金履歴がありません」
となるケースがあります。
送金したら明細や電子データを保存しておきましょう。
4.外国語の証明書だけ提出する
親族関係書類などが外国語の場合、日本語訳も必要です。
5.30歳以上70歳未満なら誰でも扶養にできると思っている
国外居住親族については、この年齢層に特別な条件があります。
両親・兄弟姉妹を扶養に入れる場合は、年齢を必ず確認してください。
BIGLIGHTの支援経験から|外国人の年末調整で特に確認したいこと
BIGLIGHTでは、日本で働く外国人材の生活・就労支援を行う中で、年末調整の時期になると、
「母国の家族を扶養にしたい」
「どの書類を準備すればいいか分からない」
「送金したのに会社から追加書類を求められた」
といった相談につながることがあります。
外国人の場合、年末調整そのものを初めて経験する人も少なくありません。
さらに、
親族関係書類を母国から取り寄せる
日本語訳を準備する
1年間の送金記録を集める
といった作業には時間がかかることがあります。
そのため、BIGLIGHTでは、年末になってから準備を始めるのではなく、海外の家族を扶養に入れる予定がある場合は早めに必要書類を確認しておくことが重要だと考えています。
特に確認したいのは、
誰を扶養に入れたいのか
その人は何歳か
現在どこの国に住んでいるか
本人との続柄は何か
その年に誰へいくら送金したか
送金を証明する書類が残っているか
です。
この情報を最初に整理しておくと、必要書類を確認しやすくなります。
年末調整の前に確認したいチェックリスト
| 確認項目 | チェックする内容 |
|---|---|
| 本人情報 | 氏名・住所などに変更がないか |
| 扶養家族 | 誰を扶養として申告するか |
| 年齢 | 国外居住親族が何歳か |
| 親族関係書類 | 親子・夫婦などの関係を証明できるか |
| 日本語訳 | 外国語書類の翻訳があるか |
| 送金履歴 | 誰へ・いつ・いくら送金したか |
| 38万円条件 | 30歳以上70歳未満の国外居住親族で該当するか |
| 保険 | 控除証明書が届いているか |
| 前職 | 年の途中で転職した場合、前職の源泉徴収票があるか |
| 提出期限 | 会社が指定する締切を確認したか |
会社ごとに書類の提出期限は異なります。
締切直前ではなく、早めに確認することをおすすめします。
年末調整に間に合わなかったらどうする?
必要な書類を会社の締切までに準備できなかった場合、年末調整で控除を受けられないことがあります。
しかし、条件を満たしている場合は、後から確定申告によって控除を申告できる可能性があります。
国税庁も、国外居住親族について確定申告で扶養控除等を受ける場合、親族関係書類や送金関係書類等の提出または提示を求めています。
年末調整に間に合わなかったからといって、自己判断で諦めず、会社の給与担当者や税務署などへ確認しましょう。
年末調整と確定申告の違い
簡単にいうと、
年末調整
→ 主に会社が給与所得者の所得税を年末に精算する
確定申告
→ 本人が1年間の所得や控除などを計算して税務署へ申告する
という違いがあります。
会社員の多くは年末調整だけで所得税の精算が完了します。
一方で、
- 年末調整の対象外
- 一定の副収入がある
- 医療費控除を受けたい
- 年末調整で控除を申告できなかった
などの場合は確定申告が必要、または確定申告をすることで税金が戻るケースがあります。
まとめ|外国人の年末調整は「海外の家族の書類」を早めに確認しよう
年末調整とは、会社が毎月の給与から天引きした所得税等と、1年間に本来納める税額との差を精算する手続です。
外国人労働者も、対象条件を満たせば基本的に年末調整を受けます。
特に海外に住む家族について扶養控除等を受けたい場合は、
親族関係書類
送金関係書類
必要に応じて38万円送金書類
必要に応じて留学ビザ等書類
などを確認する必要があります。外国語で作成された対象書類については日本語訳も必要です。
特に30歳以上70歳未満の国外居住親族には追加条件があるため、両親や兄弟姉妹を扶養に入れたい人は注意しましょう。
BIGLIGHTでも外国人材を支援する中で、年末になってから送金記録や親族関係書類を探し始めると、会社の提出期限に間に合わなくなる可能性があると考えています。
海外の家族を扶養に入れる予定がある場合は、
「誰を扶養にするのか」
「何の書類が必要なのか」
「誰にいくら送金する必要があるのか」
を早めに確認し、送金記録や証明書を大切に保管しておきましょう。
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