塗装とは?仕事内容・年収・資格・向いている人・特定技能を徹底解説【2026年版】

塗装とは?仕事内容・年収・資格・向いている人・特定技能まで徹底解説【2026年版】
製造業では、金属部品や機械、設備などを完成させるために、加工や組立てだけでなく、製品の表面を保護し、美しく仕上げる工程も欠かせません。
そこで重要な役割を担っているのが**「塗装」**です。
塗装というと、建物の壁や住宅の外壁を塗る仕事をイメージする人も多いかもしれません。
しかし、製造業の塗装では、機械部品や金属製品などの表面に塗料を塗り、さびや腐食を防止するとともに、傷から製品を守り、外観や機能性を高める役割があります。
JAIMの製造分野特定技能評価試験の学習資料でも、塗装とは基材表面に塗料による皮膜を作る方法とされ、耐食性の向上、傷からの保護、美観の向上、滑り止めや撥水性などの機能付加が目的として説明されています。
この記事では、2026年時点の厚生労働省、経済産業省、出入国在留管理庁、JAIMなどの公的情報をもとに、塗装の仕事内容、平均年収・給料、塗装方法、必要な技能、資格、向いている人、将来性、特定技能1号・2号との関係まで詳しく解説します。
塗装とは?
塗装とは、金属、プラスチック、コンクリートなどの表面に塗料を塗り、塗膜を形成する作業です。
製造業では、金属部品、機械、設備、フレーム、筐体など、さまざまな製品に塗装が行われています。
塗装の目的は、単に製品に「色を付ける」ことだけではありません。
主な目的には、
- さび・腐食を防ぐ
- 水分や酸素から素材を守る
- 傷や摩耗から表面を保護する
- 製品の外観を美しくする
- 色によって製品を識別しやすくする
- 撥水性などの機能を付加する
などがあります。
JAIMの公式学習資料でも、塗装によって基材を酸素や水分、傷などから保護するとともに、色や模様による美観の向上、滑り止め・撥水性などの機能を付加できると説明されています。
つまり、塗装は製品の見た目と耐久性の両方を支える重要な製造工程といえるでしょう。
製造業における塗装の主な仕事内容
実際の仕事内容は製品や工場によって異なります。
一般的には、次のような工程があります。
1.塗装前の製品確認
まず、塗装する製品の状態を確認します。
例えば、
- 傷
- さび
- 汚れ
- 油分
- ほこり
- バリ
- 表面の凹凸
などがないか確認します。
塗装する表面に油や汚れが残っていると、塗料が十分に密着せず、後から塗膜がはがれる原因になることがあります。
そのため、塗料を塗る前の準備が非常に重要です。
2.下地処理
塗装の品質を左右する重要な工程が下地処理です。
製品の状態に応じて、
- 洗浄
- 脱脂
- 研磨
- さび落とし
- 表面の清掃
- パテ処理
などを行います。
表面を適切な状態に整えることで、塗料が密着しやすくなり、仕上がりや耐久性の向上につながります。
塗装は「塗る技術」だけでなく、塗る前の準備をどれだけ丁寧に行えるかも重要な仕事です。
3.マスキング
塗料を付着させてはいけない部分には、テープや専用材料などを使ってマスキングを行います。
例えば、
- ねじ穴
- 接続部分
- 精密加工面
- 電気接点
- 指定された非塗装部分
などです。
マスキング位置がずれると製品の品質に影響するため、図面や作業指示書を確認しながら正確に作業します。
塗装にはどんな方法がある?
製造業では、製品や目的に応じてさまざまな塗装方法が使用されています。
スプレー塗装
代表的なのが**スプレー塗装(噴霧塗装)**です。
スプレーガンなどを使用して塗料を細かな霧状にし、製品表面へ吹き付けます。
JAIMの公式教材では、圧縮空気によって塗料を霧化して塗装する方法と説明されています。
複雑な形状にも比較的均一に塗装できることが特徴です。
作業者には、
「スプレーガンを動かす速度」
「製品との距離」
「吹き付ける角度」
「塗料の量」
などを適切に調整する技能が求められます。
静電塗装
静電塗装は、静電気を利用して塗料を製品に付着させる方法です。
JAIMでは、霧化した塗料と基材をそれぞれ帯電させ、静電気を利用して塗料を付着させる方法として説明されています。
塗料の無駄を抑えやすい一方、設備が大掛かりで複雑になる特徴があります。
自動車部品や機械部品など、製造現場でも利用される塗装方法の一つです。
刷毛・ローラーによる塗装
製品や作業環境によっては、
刷毛(はけ)
や
ローラー
を使って塗装することもあります。
細かな部分を補修したり、大きな面を塗ったりする際など、用途によって道具を使い分けます。
厚生労働省job tagでも、塗装作業で刷毛、ローラーブラシ、スプレーガンなどが使用されることが紹介されています。
塗料の調合・粘度調整
製品によっては、塗料をそのまま使用するのではなく、
- 主剤
- 硬化剤
- 希釈剤
などを決められた割合で調合します。
また、気温や塗料の種類、塗装方法などに応じて適切な状態に調整することもあります。
配合を間違えると、
乾燥しない
塗膜が弱くなる
色が変わる
仕上がりが不均一になる
といった問題につながる可能性があります。
そのため、作業標準やメーカーの指定条件を守ることが重要です。
塗装後の乾燥・焼付け
塗装した後は、塗膜を乾燥・硬化させます。
塗料によっては自然乾燥だけでなく、乾燥炉などを使用して加熱する場合があります。
この工程では、
- 乾燥時間
- 温度
- 製品の状態
などを管理します。
十分に硬化していない状態で次の工程へ送ると、塗膜に傷が付いたり品質不良につながったりするため、適切な管理が必要です。
塗装後の検査
塗装が完了した製品について、仕上がりを確認します。
代表的には、
- 色
- 光沢
- 塗りムラ
- 液だれ
- はじき
- 気泡
- 異物
- 塗り残し
- 傷
- 塗膜の状態
などを確認します。
製品によっては、目視だけでなく測定器を使って塗膜の厚さなどを確認する場合もあります。
不良が見つかった場合には、必要に応じて研磨や再塗装などを行います。
「金属塗装」「噴霧塗装」「建築塗装」の違い
「塗装」といっても仕事内容は一つではありません。
厚生労働省の技能検定では、塗装職種として、
木工塗装作業
建築塗装作業
金属塗装作業
鋼橋塗装作業
噴霧塗装作業
が設定されています。
金属塗装
機械部品や金属製品などの表面を塗装する作業です。
防錆、耐食性向上、美観向上などを目的として行われます。
噴霧塗装
スプレーガンなどを使用し、塗料を霧状にして製品へ吹き付ける作業です。
建築塗装
住宅やビルなど、建築物の外壁・内壁などを塗装する仕事です。
厚生労働省job tagでは、建築物を日光、雨、湿気、大気汚染などから保護するとともに、美しく仕上げる仕事として紹介されています。
このように、同じ「塗装」でも働く場所・対象物・使用する設備・必要な技能が異なります。
塗装の給与・年収はどのくらい?
塗装は建築、自動車、金属製品、機械部品など対象範囲が広く、製造業の塗装だけを完全に切り分けた全国統計には限界があります。
参考として、厚生労働省job tagの「建築塗装工」を見ると、令和7年の全国統計は次のようになっています。
平均年収:497.7万円
一般労働者の1時間当たり賃金:2,317円
平均年齢:41.6歳
平均労働時間:月165時間
また、ハローワーク統計では令和6年度の、
求人賃金:月額27.9万円
有効求人倍率:5.43倍
となっています。
ただし、これは建築塗装工の統計であり、金属塗装・噴霧塗装だけの平均年収ではありません。
製造業の塗装職の実際の給与は、
- 地域
- 企業規模
- 経験年数
- 塗装方法
- 保有資格
- 夜勤・交替勤務
- 残業時間
- 担当する製品
- スプレー塗装などの技能レベル
によって異なります。
そのため、「塗装=平均年収497.7万円」と断定するのではなく、関連職種の参考値として見ることが重要です。
塗装は未経験でもできる?
塗装の仕事には、未経験からスタートできる求人もあります。
厚生労働省job tagでは、建築塗装工について、入職時に特定の学歴や資格が必須ではないと説明しています。
製造業でも、最初は、
製品の準備
↓
清掃・脱脂
↓
マスキング
↓
簡単な塗装
↓
スプレーガン操作
↓
仕上がり調整
↓
検査
といった形で経験を積むケースがあります。
ただし、均一で美しい塗膜を作るには経験が必要です。
特にスプレー塗装では、距離、角度、速度、塗料量など複数の条件を同時に調整する必要があり、経験を積むことで仕上がりの差が出やすい仕事といえます。
塗装に向いている人
塗装では、製品表面の小さな変化を見つける力が重要です。
例えば、
「少し色が違う」
「この部分だけ塗膜が薄い」
「小さな異物が付着している」
「表面にわずかなムラがある」
といった違いを判断する必要があります。
そのため、
- 細かな作業が得意な人
- 丁寧に作業できる人
- 色や仕上がりの違いに気づける人
- 集中力を維持できる人
- 手先を使う仕事が好きな人
- 決められた作業手順を守れる人
- 品質を意識して仕事ができる人
- 安全ルールを守れる人
などに向いている仕事といえるでしょう。
塗装は見た目だけでなく製品の耐久性にも関係するため、「きれいに塗る」だけではなく、決められた品質を安定して作る能力が重要です。
塗装で役立つ国家資格「塗装技能士」
塗装に関連する代表的な資格が**「塗装技能士」**です。
厚生労働省の技能検定は、働くうえで必要となる技能の習得レベルを評価する国家検定制度です。試験に合格すると「技能士」と名乗ることができます。
塗装は技能検定の対象職種となっており、
- 木工塗装作業
- 建築塗装作業
- 金属塗装作業
- 鋼橋塗装作業
- 噴霧塗装作業
などがあります。
製造業で働く場合には、特に金属塗装や噴霧塗装に関する技能が役立つ職場があります。
資格は、塗装に関する知識・技能を客観的に証明する材料の一つになります。
塗装で役立つその他の資格・知識
塗料によっては有機溶剤などを扱うことがあります。
厚生労働省job tagでは、関連資格として、
有機溶剤作業主任者
毒物劇物取扱責任者
危険物取扱者
などを持っていると有利な場合があると説明しています。
ただし、必要となる資格は実際に使用する塗料、設備、作業内容によって異なります。
外国人も塗装の仕事ができる?
在留資格の条件を満たせば可能です。
特に外国人材に関係するのが**在留資格「特定技能」**です。
出入国在留管理庁によると、工業製品製造業分野の特定技能1号「機械金属加工区分」の主な業務には、**「塗装」**が明記されています。
2026年度の製造分野特定技能1号評価試験でも、機械金属加工区分の対象業務として、
建築塗装
金属塗装
鋼橋塗装
噴霧塗装
が示されています。
さらにJAIMの2026年FAQでは、例えば機械部品の塗装を行う企業が日本標準産業分類**2461「金属製品塗装業」**に該当する場合、その工程で特定技能外国人を受け入れることが可能と説明されています。
つまり、外国人にとっても塗装は、日本の製造業で専門技能を身につけながら働ける職種の一つです。
塗装は特定技能2号を目指せる?
はい。要件を満たせば、塗装から特定技能2号を目指すことが可能です。
出入国在留管理庁では、工業製品製造業分野の特定技能2号「機械金属加工区分」の主な業務として塗装を明記しています。
2号では、単に塗装作業を行うだけではなく、
複数の技能者を指導しながら製造工程の作業に従事し、工程を管理する
レベルが求められます。
2026年度の特定技能2号評価試験でも、機械金属加工区分の対象業務として、
建築塗装・金属塗装・鋼橋塗装・噴霧塗装
が掲載されています。
そのため、
塗装作業
↓
スプレー塗装などの専門技能
↓
品質確認・不良対応
↓
後輩への指導
↓
工程管理
と経験を積み、所定の試験や実務経験などの要件を満たすことで、特定技能2号へのキャリアアップを目指すことができます。
2026年の特定技能「塗装」で注意したいポイント
2026年には工業製品製造業分野の制度改正も行われています。
経済産業省の2026年4月資料では、工業製品製造業の特定技能1号は17業務区分に拡大されました。一方、2号の対象は引き続き機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分です。
また、2026年6月1日には工業製品製造業分野に関する基準改正が施行されています。
塗装については、機械金属加工区分の対象業務として位置づけられています。
特定技能で採用する場合は、単に「会社で塗装をしているから受入れ可能」と判断するのではなく、会社の産業分類、実際の製造品、外国人が担当する工程、試験区分などを確認することが重要です。
塗装の将来性
塗装は、製品を美しく見せるだけではありません。
金属製品の場合、表面を適切に保護しなければ、使用環境によってさびや腐食が進行する可能性があります。
そのため、
自動車部品
産業機械
金属製品
機械フレーム
設備
家具
建築物
など幅広い分野で塗装技術が必要とされています。
また、製造業では品質要求が高くなるにつれて、
均一な塗膜
耐食性
外観品質
塗膜管理
不良削減
なども重要になります。
今後は、自動塗装設備を扱う技能や品質管理まで身につけることで、より専門性の高い塗装技術者を目指すことができるでしょう。
塗装のキャリアアップ
塗装では、経験を積むことで担当できる業務を広げることができます。
例えば、
製品準備・清掃
↓
脱脂・研磨・マスキング
↓
基本的な塗装作業
↓
スプレー塗装
↓
塗料調合・条件調整
↓
仕上がり検査・不良対応
↓
後輩への指導
↓
工程管理・塗装リーダー
といったキャリアが考えられます。
さらに、塗装技能士などの資格取得や、自動塗装設備、品質管理などの知識を身につけることで、専門性を高めることもできます。
まとめ|塗装は製品の「見た目」と「耐久性」を支える重要な仕事
塗装とは、金属やその他の素材の表面に塗膜を形成し、さび・腐食・傷などから製品を保護するとともに、美観や機能性を高める仕事です。
製造業では、塗装前の下地処理、マスキング、塗料の調整、スプレー塗装、乾燥、仕上がり検査など、さまざまな工程があります。
厚生労働省job tagの参考データでは、関連する「建築塗装工」の令和7年全国平均年収は497.7万円、一般労働者の1時間当たり賃金は2,317円、平均労働時間は月165時間となっています。ただし、これらは金属塗装や噴霧塗装だけを切り分けた統計ではない点に注意が必要です。
また、塗装は2026年の特定技能「工業製品製造業分野」における機械金属加工区分の対象業務です。特定技能1号だけでなく、所定の要件を満たせば特定技能2号へのキャリアアップも可能です。
細かな仕上がりの違いに気づける人、手を使った仕事が好きな人、丁寧にコツコツ作業できる人、製造業で専門技能を身につけたい人にとって、塗装は長期的なキャリア形成を目指せる仕事の一つといえるでしょう。
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